複利とは何か:計算式と実例、そして「早く始める」が「多く積む」に勝つ理由
複利とは、最初に預けた元本だけでなく、積み上がった利息にもさらに利息がつく仕組みのことです。計算式は M = P ×(1 + r)^n で、Pは元本、rは1期間あたりの利率、nは期間の数です。式は一行で終わります。しかしそれが20年、30年かけて生み出す差は、一行では収まりません。
計算式を分解する
追加の積立をせず、まとまった資金を寝かせて増やす場合はこうです。
M = P ×(1 + r)^n
- M = 満期金額
- P = 元本
- r = 1期間あたりの利率(小数。5%なら0.05)
- n = 期間の数
利率と期間は必ずそろえます。毎月複利で年利5%と書かれているなら、月あたりの利率は 5% ÷ 12 = 約0.417% で、nは年ではなく月で数えます。毎月複利にすると、年5%(名目)は 実効5.12%(1.00417^12 − 1)になり、ちょうど5%にはなりません。この差は、2つの商品を比べるときに効いてきます。
毎月の積立を加えると、各回の入金がその日から独自の複利の時計を回し始めます。この場合はきれいな一行の式では表せません。だからこそ、暗算より計算ツールのほうが向いています。
単利と複利のちがい
差は1年目は小さく見え、20年たつと大きく開きます。100万円を年5%で20年間、追加なしで置いた場合を見てみましょう。
| 20年後 | 単利 | 複利 |
|---|---|---|
| 満期金額 | 200万円 | 約265万円 |
| 利息のみ | 100万円 | 約165万円 |
単利は最初の100万円に対してだけ5%がつきます。年5万円、毎年これだけです。複利は口座にある残高に対して5%がつき、その残高は毎期増えていきます。20年後、同じ元本、同じ利率、同じ期間でも、複利は単利の 1.6倍以上 の利息を生みます。
多くの人が驚く数字:早く始めるか、遅く始めるか
複利の力を一番はっきり示すのがこの例です。
Aさん は25歳からつみたてNISAで毎月2万円を積み立て、35歳でやめます。積立は10年間だけ。あとは65歳まで何も足しません。
Bさん は35歳から始め、65歳まで毎月2万円を欠かさず積み立てます。30年間、一度も止めません。
どちらも全世界株式インデックスファンドで年7%、毎月複利と仮定します。
| Aさん | Bさん | |
|---|---|---|
| 毎月の積立 | 2万円 | 2万円 |
| 積立期間 | 10年(25〜35歳) | 30年(35〜65歳) |
| 積立総額 | 240万円 | 720万円 |
| 65歳時点の残高 | 約2,810万円 | 約2,440万円 |
Aさんの積立総額はBさんの3分の1なのに、65歳では約370万円多く持って引退します。Aさんの初期10年ぶんの複利を、Bさんは30年の継続でも追い抜けませんでした。これは計算ミスでも丸め誤差でもなく、実際の数式が出す答えです。
実例:毎月3万円を25年間
もっと現実的な設計例です。初期投資50万円、毎月3万円の積立、年5%で毎月複利とします。
| 経過年 | 積立総額 | 残高 | 利息 |
|---|---|---|---|
| 1年 | 860,000円 | 893,947円 | 33,947円 |
| 5年 | 2,300,000円 | 2,681,862円 | 381,862円 |
| 10年 | 4,100,000円 | 5,481,973円 | 1,381,973円 |
| 20年 | 7,700,000円 | 13,687,330円 | 5,987,330円 |
| 25年 | 9,500,000円 | 19,605,936円 | 10,105,936円 |
1年目は利息が残高の4%足らずで、ほとんどは自分で入れたお金です。25年目には逆転します。約1,960万円のうち 約1,010万円が利息 で、自分の財布から出たのは950万円だけです。これが雪だるま式の効果で、続けた人にだけ現れます。
この試算は利率が一定(年5%)だと仮定しています。実際の運用利回りは毎年変動します。約束ではなく、あくまで計画の目安として使ってください。
自分の数字で計算する
初期投資額、毎月の積立額、年利、期間を自由に変えてください。ツールが毎月ごとに計算式を適用し、1年ごとの推移を表示します。
表示金額はインフレ調整前の名目値です。年2%のインフレが続くと約35年で購買力はおよそ半分になるため、最終金額の実質的な価値は表示より低くなります。
資産の推移
| 年 | 投資額 | 評価額 | 利息 |
|---|
気づかないうちに利息を減らす失敗
年利を1期間の利率として使う。 毎月複利にするなら、まず換算します。年5%は月あたり約0.417%です。5%のまま240か月の式に入れると、結果が非現実的に膨らみます。
名目利率と実効利率を混同する。 年5%(名目)を毎月複利にすると実効5.12%です。2つの商品を比べるときは、宣伝の数字ではなく実効年利で比べます。
インフレを忘れる。 利回り7%でも物価上昇が3%なら、実質の伸びは約3.9%です。名目の残高は立派に見えても、買える量の伸びはもっと緩やかです。
積立を止める。 AさんとBさんの例が示すとおりです。途中で2年止めると、失うのは2年分の入金だけではありません。そのお金を将来の複利すべてから外すことになり、しかも止めた年ほど、本来なら一番長く複利がついたはずの年だったりします。
税金を見落とす。 通常の課税口座では、利益に約20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税)がかかります。表の数字より手取りは少なくなります。一方、つみたてNISAの口座内で得た利益は非課税なので、同じ利回りでも複利がまるごと残ります。制度の枠を使うかどうかで、長期の差は大きくなります。
よくある質問
単利と複利の違いは何ですか。 単利は毎期、最初の元本に対してだけ一定の利息がつきます。複利は元本に加えて、それまでに得た利息にも利息がつきます。短い期間では差は小さいですが、20年を超えると複利は総リターンで2〜3倍になることもあります。
年利を月利に換算するには。
実用的な近似では12で割ります。年5%なら月約0.417%です。同じ実効年利になる正確な月利が必要なら (1 + 0.05)^(1/12) − 1 = 約0.407% を使います。多くの計算ツールや金融商品は単純な割り算のほうを採用しています。
少額でも複利は意味がありますか。 あります。効くのは金額よりも時間です。25歳から毎月1万円のほうが、45歳から毎月5万円を同じ積立年数だけ続けるより大きな資産を作ることもあります。いくら入れるかより、いつ始めるかのほうが効きます。
複利は月ごと、年ごと、どちらが有利ですか。 頻度が高いほうがわずかに有利です。年5%(名目)なら、毎月複利で実効5.12%、毎日複利で実効5.13%です。差は実在しますが小さいです。毎日複利を追いかけるより、利率の高い口座を選ぶほうがずっと効きます。
なぜツールは税金を計算しないのですか。 税の扱いは口座の種類、国、所得によって変わります。ツールは税引き前の金額を表示します。課税口座では、毎年の利益に約20.315%を差し引いて手取りを見積もってください。NISAの非課税枠内なら差し引きは不要です。